動力発生装置の基本 ~トルクとパワー~

最高パワー(出力・馬力)や最高トルクが何回転で発生するかというのは、実はエンジンの魅力を決める超決定的なポイントでもあるんです。
でも、このパワーやらトルクって一体どんなことを意味しているのか?と素朴な疑問に思ったことはありませんか?ということで、エンジンの魅力の決定打ともなっているパワーやトルクそのものについて、ここでちょっと解説しておくとしましょう。

【トルクとパワー】

トルクとは、軸を回転させる力を意味しています。
エンジンのトルクの場合はクランクシャフトと呼ばれる回転運動をつかさどる装置の回転力を表しています。
つまり、トルクが大きいほど、このクランクシャフトが力強く回転しているということになります。

単位には「kg・m」が用いられます。
これは、回転軸に対して直角に1mの横棒を取り付け、
その横棒の端に回転方向へ1kgの力を加えたときの力をあらわしています。

ボルトを締める様子を思い浮かべると分かりやすいでしょう。
ボルトの頭にレンチを装着し、締める方向に手でぐいっと力を入れる形がまさに、トルクを加えている状況です。

では、パワー(出力・馬力)はというと、仕事量を表しています。
単位にはよく馬力(ps)が用いられていますが、これは蒸気機関を発明したイギリスのジェームズ・ワットが定義した「1ps=75kg-m/s」という、75kgの重さのものを1秒間に1m引き上げるのに必要な力を元にした単位表記となっています。

馬力(ps)以外にも「kW」が世界的単位として正式に用いられています。
なお「1kW=1.360ps」「1ps=0.7355kW」と変換できます。

他には「HP」という単位が用いられることもあり「1ps=0.7355kW」であるのに対し「1PH=0.7457kW」と微妙に数値が違って非常にややこしくなっています。
とりあえず日本で馴染み深い馬力(ps)だけ理解しておけば良いでしょう。

【トルクとパワーの関係】

トルクとパワーの関係は、ある重い荷物を人間の手で運搬する場合で考えてみると分かりやすいです。

重さ10kgの荷物が10個あり、その荷物を全て100m先まで運ぶとします。
力持ちのA君は荷物を5個ずつ2回に分けて運びました。

それに対して非力ですがフットワークの軽いB君は、2個ずつ荷物を運び、5回に分けて運びました。
A君B君共に、運ぶのに有した時間は同じだったため、要した仕事量は同じとなります。でした。

A君とB君をエンジンに例えた場合、仕事量は同じなのでパワーは同じとなります。
そして荷物を運ぶために有した往復回数が回転数に値します。

つまり、A君は少ない回転数で仕事をこなした為にトルクもりもりの力強いエンジンであり、B君はトルクが小さな高回転型のエンジンとなります。

つまるところ、同じパワーを持つエンジンでも、トルクの稼ぎ方によってフィーリングはまったく異なるという訳です。